現在2022年4月4日20時15分である。(この投稿は、ほぼ5572文字)
麻友「今日は、ポートへ、行ってたのね」
私「晴れ男の私が、降られることは、珍しいのだが、明日のフラワーアレンジメントには、あまり出たくないので、今日と明後日を選ぶことにした」
若菜「お父さんじゃ、フラワーアレンジメントは、つまらないかもね」
私「絵画だったら、何か物理的意味や、数学的意味を、込めて作るから、良いんだけどね」
結弦「円周率とか、『珊瑚と貝』とか、やってたものなあ」
麻友「あれは、『ほうれん草とお芋』です」
若菜「早く始めないと、時間が・・・」
麻友「太郎さん。昨日の、『整数は、神が作り給うた.』みたいなのは、私も、面白いと思う。毎回、ああいう、ちょっと面白い話を、入れてくれない? それだったら、読むわ」
私「面白いことか、じゃあ、今日は、2カ月以上手こずっていた問題の計算が、上手く行った話を、してみようか。先に、種明かしは、しておく。戸田盛和(とだ もりかず)の『一般力学30講』の 第15講 アーベルの問題とサイクロイド振り子 の式(7),(8)から、式(9)が、導けず、『誤植なんじゃないか?』と、泣きそうになっていた部分。今日、計算が成功し、誤植でないことが、分かった。微分積分を、バンバン使うし、三角関数も、使うから、『ああ、三角関数って、本当に役立つんだ』と、改めて感じて欲しい」
若菜「お父さん。その物理30講シリーズ、全部持っているんですね。数学の30講シリーズは、持っていないのですか?」
私「正確には、持ってはいたんだ。全部、読んだことある。ただ、数学書に『解析入門Ⅰ・Ⅱ』のレヴェルの厳密さを要求する私にとって、余りにも、証明がずさんだったんだ。それで、あるとき、『もういらない』と、明倫館書店に、売ってしまった」
若菜「物理の30講シリーズは、厳密なのですか?」
私「物理の本だから、必ずしも厳密ではない。だけど、式を追っていける程度には、きちんと書いてある。ただ、今回みたいに、1月22日から、4月4日まで、みたいに2カ月以上かかるギャップは、珍しい」
結弦「凄い計算みたいだな。今晩中に終わらなそう。別の話にしたら?」
実際、昨晩終わらなかった。眠くなり、寝てしまった。
現在2022年4月5日12時16分である。再開。
麻友「どういう凄さなの?」
私「分からなくて、当然だが、
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(6)
となる.これがアーベルの問題の基本的な方程式である.この方程式の解 を知れば,求める曲線 は(5)を解いて得られる。
【アーベルの方程式の解】
(6)を解くためにこの方程式の両辺に をかけて について積分する(テキスト図58 参照).左辺は積分の順序を変えると
(7)
となる.この右辺の積分で
(8)
とおけば ,
なので
(9)
である。
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(『一般力学30講』87ページより)
の、(8)式から、次の2式が、導けなくて、苦労していた」
若菜「お父さん。それ以外の変形が、全部できるから、ここが誤植じゃないか? なんて、気付くんですね。物理30講シリーズって、もの凄く難しいことが、分かりました」
麻友「それで、どうなったの?」
私「何度も、 を含む式を、計算した。
と、
まで計算して、これを、掛け合わす。
上手くできたもので、 となるから、
となって、
と、根号が、外れる。後は、積分を、間違えないようにやる。ここで、動いている変数が、 と、 だけで、 や、 は、この外の積分でだけ、変数であることに気付くと、(8)から、
であるから、(9)式が、
と、最後まで、誤植がなかったことが、確かめられた。ただし、積分する変数に関し、
と、変換されている」
麻友「わー。これを、昨日、計算しきったの?」
私「大学受験でも、東京工業大学なんかだと、これくらいの計算を、腕力で解けないと、駄目だったりする」
麻友「あー、大学ね。ガロアのブログで、太郎さんから、誤報を流すというアイディアをもらった。2015年だから、出会った年。色々考えて、結局私は、引退するときも、誤報なんて、流さなかった」
私「3月の終わり頃、ドラマ『戦う!書店ガール』の木下ほうかさんに、いじめられたとか、噂流れてたけど」
麻友「つまらない、噂よ。太郎さんが、気にするほどのものじゃないわ。いじめられたなんて、100年早いわよ」
私「麻友さんは、やっぱり、役者が違う。『一般力学30講』の面白いところ、麻友さんでも分かるところ、読んであげる」
結弦「僕でも、分かる?」
私「大丈夫。第14講の最速降下線 に、こんな話がある。
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最速降下線の問題
重力の作用を受け,1鉛直平面内でなめらかな曲線に沿って降下する物体を考える。初速度なしで定められた出発点から目的地までもっとも速く到達する経路(これを最速降下線という)はサイクロイドという曲線であることを証明しよう.
この問題はベルヌーイ(J.Bernoulli,1667-1748)によってヨーロッパ中のすぐれた数学者に対して提出された.ニュートンはただちにこれを解き,匿名でベルヌーイに書き送ったところ,ベルヌーイはその解法を見てすぐに解答者を知ったということである.
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(『一般力学30講』(79ページより)
麻友「わー、どんな解法だったんだろう?」
若菜「先ほどからやっているように、微分積分を使ったものだったんでしょうね」
私「微分積分は、1665年か1666年に、ニュートンが、発見している。実は、このベルヌーイの問題は、1696年に、ヨーロッパ中のすぐれた数学者に出された。イギリスは、ヨーロッパではないという勘定。ヨーロッパの数学者は、問題を出した、ベルヌーイ(スイス)とライプニッツ(ドイツ)以外、6カ月経っても結局解けなかった。1696年1月29日、この問題を人づてに聞いたニュートンは、暗算で、結果が推察できたとも、言われている」
結弦「すげー。この日付は、なぜ分かるの?」
私「この本に、書いてあったんだ」
私「発表は、してある。だけど、記号の使い方も、分からない状態だったから、30年では、一部の天才たちにしか、使えないシロモノだった」
若菜「高校2年生で、微分積分を、習った。初めて、『数学ガール』が、全部分かったのを、覚えています」
結弦「オリジナルの結弦君も、今年高校1年生、“Who is Fourier?” は、難し過ぎたんじゃない?」
私「『数学ガール』を、背伸びして読んだように、ちょっと先のことに挑戦するのは、良いことだ。若菜がやりたい生命科学でも、これからは、数学も、必要になってくるだろう。ブルバキまで、分かっている必要は、本当はないが、難しいことを学んでみると、今のことが、易しく感じられるものだ。数学や物理学では、特にそうだ。どんどん挑戦して欲しい」
麻友「今日は、面白かった。特に、太郎さんが、2カ月以上かけて、誤植でないことを確かめたのを、私に知らせたかったのよね」
私「そういうことだ。付き合ってくれて、ありがとう。次回は、『現代論理学』復活させる」
麻友「おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
私「おやすみ」
現在2022年4月5日22時42分である。おしまい。