1から始める数学

数字の1を定義するところから始めて現代数学を築きます。ブログの先頭に戻りたいときは、表題のロゴをクリックして下さい。

0から始める数学(その6)

 現在2020年11月16日17時46分である。(この投稿は、ほぼ3667文字)

私「麻友さん。新型コロナウイルス、結構大変なことになってるんだね」

麻友「ちょっと。そんなのとっくの前からよ」

私「私そもそも、新型コロナウイルスって、マスコミを巻き込んだ、デマだと思ってるから」

若菜「何のために、そんなデマ飛ばすんですか?」

私「例えば、大相撲とかを、未来のために、本物を、ハイヴィジョンで、録画しておこうとか」

結弦「死んでる人も、いるんだよ?」

私「だって、看取ってない」

麻友「信じてないのに、どうしてこの投稿を、始めたの?」

私「今、TBSの『Nスタ』見ていたら、オリンピックのバッハ会長が、

『ワクチンが、できたら、オリンピックに外国人が、来られるだろう』

って、言ったんだ」

麻友「ハッ、太郎さん。まさか」

私「もちろん。私に、『ワクチン作ってみろ』と、挑発されたと、受け取った」

若菜「ほんと、単純なんだから」

結弦「『細胞の分子生物学』10ページしか読んでないのに」

私「以前、若菜を救うために、メールにこう書いた私なのだから、


『ISAKは、小林りんさんとは、もう4年近く、連絡を取り合っていますが(確かめたければ、相対性理論を学びたい人のために、という私のブログの、検索窓に『しごくなあ』と入れると、『小林りんさん、しごくなあ』という投稿があって、分かります)、あの高校は、素晴らしい高校であるのは、確かです。
でも、ある意味、天才を作るための高校です。
天才というのは、確かに、幸せなことも、たくさんあります。でも、辛いこともあるのは、本当なのです。私がそうですから。

ユトリロのように、昔描いた自分の絵を模写して売るようなのは、本当の天才では、ありません。目の前に起こっていることを、自分の才能を使えば、なんとかなると気付いたら、お金なんかどうでも良いから、才能を使っちゃう。それくらいでなければ、天才には、なれません。

若菜ちゃんが、そこまで覚悟があるのか?ないなら、ISAKへは行くべきではありません。行かないという人生を楽しむのも、いいのです。私は最近、人は生まれたけれども、死なないと、思うように、なりました。死なないのなら、どんな生き方をしても、良いのです。だって、200年後ぐらいに、改めて行ったって良いのですから。
今回、これをお伝えしたかったのです。メールが届くよう祈ります。
それでは』


有言実行でなきゃね」

麻友「そう言いながら、数学のブログの記事書いてる」

私「数学、物理学、化学、分子生物学、全部使う。手の内を見せながらやろう。現在、『細胞の分子生物学』を読んでいるのは、ドラえもんのブログだ。あのブログを、もっと生かそう」


若菜「この投稿は、最初何のために、書き始めたのですか?」

私「数学での矢印の使い分けの、良い案を思い付いたんだ」

結弦「矢印? 一応、話してよ」

私「実は、数学では、『{\Rightarrow}』 という矢印と、『{\rightarrow}』 という矢印、それから、それぞれを長くした、『{\Longrightarrow}』 という矢印と、『{\longrightarrow}』 という矢印、の使い方が、教科書によってまちまちで、非常に私は、困っていた」

麻友「『ならば』っていう矢印以外に、他にあるの?」

私「例えば、

倉田令二朗『数学基礎論へのいざない』(河合文化教育研究所)

の8ページに、

 数学の命題 {A,B} に対し,{A\Longrightarrow B} とは {A\rightarrow B} が真であることを表すとする。

とある」

若菜「{A\rightarrow B} は、どう定義されているんですか?」

私「これは、お前たちも知っている、『現代論理学(その22)』での、

{\begin{array}{c|c|c}

A & B & A \Rightarrow B\\
\hline
真 & 真 & 真\\
真 & 偽 & 偽\\
偽 & 真 & 真\\
偽 & 偽 & 真\\

\end{array}}

だよ」

結弦「あれっ? 『現代論理学』では、{\rightarrow} のところが、{\Rightarrow} になってたんだね」

私「いや、『現代論理学』では、本当は、『{\supset}』 となってたんだ。だが、これは、論理学での書き方なので、私が、数学流に、書き換えたんだ。言ってなくてごめん」

結弦「そうなのか、論理学流の他に、更に、数学流が2つもあるのか」

私「でも、入れ替わってるだけだったら、問題は簡単だった。私が、困ったのは、

{A\Longrightarrow B} とは {A\rightarrow B} が真であることを表すとする』

という、『真であることを表す』って、どういうこと? という疑問だった」

麻友「『それが、真だ』それだけよ」

私「おい。私は、3人の数学を、そんな風に、優等生になるようには、仕込まなかったぞ」

若菜「でも、矢印の長さは、この際、関係ないんじゃないですか?」

私「それは、分かってる。二重矢印か、一本矢印か、が、問題なんだ。私がこの問題で、躓きまくったのは、いつもの『数学基礎概説』の表紙見返しに、こんなに書いてあるのを見れば、分かるはずだ」

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結弦「えっ、歴史上最高の数学者で物理学者が、こんなに、迷ってる。どういうことなんだ?」

若菜「でも、今日、投稿したということは、解決したのですね」

私「私は、写真にあるように、『{\Rightarrow}』 を、ブルバキや、『数学基礎概説』や、『現代論理学』の方を、選ぶのが良いと思った。さらに、『{\rightarrow}』は、『数学基礎概説』の第2章で現れる、LKの式(sequent)の『{A,B,C \rightarrow D,E,F} というときの矢印だと解釈した」

麻友「そのシークエントというのは?」

私「絶対正しい、{A\rightarrow A} から始めて、正しい式だけを導けるLK(logistischer Kalkül)という体系を用いて、絶対正しいことが証明された式なんだよ」

若菜「だから、『真であることを表す』として良いだろうと?」

私「うん」

麻友「でも、太郎さん、そんなに困っているようには、見えなかったけど」

私「最後の悩みは、私の本は、30年も前の本だ。今数学では、どういう表記になっているか、調べる必要がある」

若菜「うんと、新しくなければ、なりませんね」

結弦「もう、年末だけど」

麻友「新しい本を買う?」

私「それを、考えながら歩いていたとき、1冊だけ、十分信用できて、とっときの新しい本を持っているのを、思い出した」

結弦「あっ、『数学原論』だ」

斎藤毅(さいとう たけし)『数学原論』(東京大学出版会

数学原論

数学原論

  • 作者:斎藤 毅
  • 発売日: 2020/04/13
  • メディア: 単行本

麻友「ああ、確かに、絶好のタイミングね。2020年4月10日初版、6月1日第2刷」

若菜「それで、現在、どっちの表記が、メジャーなんですか?」

私「私と大芝猛さんの勝ちなんだよ。矢印の使い方の圏論の教科書で、斎藤毅さんは、ブルバキ流だった。当たり前だけどね『数学原論』なんだから」

若菜「だから、お父さん、嬉しそうだったんですね」


結弦「結局、何年、悩んでいたの?」

私「実は、京都で、既に悩み始めていた。だから、1994年から、26年間だよ」

麻友「えっ、私が生まれた年じゃない。私の人生と同じだけ、飼ってた問題なの?」

私「見せてあげる」

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麻友「これ、本物?」

私「そう。『発見・新たに知った事 2』のノート。このノートには、ページ番号は、振ってない」

麻友「0歳の私。数学と一緒に、太郎さんを、惑わしてきたんだ」

若菜「薬飲みましょ。21時14分です」

結弦「今晩は、いい夢見られますよ」

私「じゃ、バイバイ」

 現在2020年11月16日21時16分である。おしまい。

0から始める数学(その5)

 現在2020年11月15日22時05分である。(この投稿は、ほぼ9521字)

私「以前から、1から0を作った、ドラえもんのブログの『有理数体(その3)』までのまとめを、いずれすると言いながら、延び延びになってたね」

麻友「あれは、分からないわよ」

私「でも、ちょっとずつ切り崩せば、分からないことは、ないんだ。見返すとき、どこだったかなあと探すのは大変だから、ここに、纏めた。ただ、9200字くらいあるから、一気に全部読まなくていい」

麻友「そうなの?」

私「今年の6月になってから気付いたんだけど、色々ある数学の立場で、武器を余り持たない数学の立場では、その数学が矛盾する可能性は低い。その代わり、面白い定理は証明できない。一方、強力な武器を持つ数学では、面白い定理が一杯証明できる。数学者一人一人が、自分の数学を、選ぶんだ。私は、今まで、武器がほとんどなくても証明できる定理に興味があった。それこそ、本当の定理だと思っていたんだ。でも、強い武器を持って、今まで想像もしなかった、奇抜な定理を証明する方が、数学を楽しむことになると、感じたんだ。具体的に言うと、うるさいことを言う、ヒルベルト形式主義や有限の立場、あるいは直観主義よりも、コーエンのフォーシングのような、革命を起こす方が、私の数学でやりたいことに、ぴったりだと、感じたんだ」

麻友「ほとんど、分からないけど」

私「ひと言で言うなら、数学を顕微鏡で、細かく調べるより、今まで太陽系しか知らなかったのを、銀河系まで、調べ始めるように、望遠鏡で宇宙を見る方が、私に一番合っている数学だと、気付いたんだ」

麻友「じゃあ、ZFとか、BGとか、やらないの?」

私「いや、ZFCや、BGを、フルに使って、数学を進めたい」


麻友「私、分かるかしら?」

私「そのとき、そのときの、私の本音を、飾らず、書いていく。麻友さんが、『ここが、知りたいのに』というところを、すくうように、書いていくよ」

麻友「最初は、どこから?」

私「空集合を、『0』とするという話からだね」

麻友「1から0を作って、0というものが、本当に存在するということが分かった上で、空集合を0と改めて定めて、『0から始める数学』を、築くわけね。そして、心には、『1から始める数学』だという思いを、秘めているのね。見ようによっては、詩人みたいね」

私「『あの人は、数学者だから』というのは、『あの人は、詩人だから』というのに近い、いたわりだと、確率論の権威だった伊藤清(いとう きよし)という人が言ってた。当たらずといえども遠からずだね」

麻友「この後は、急いで読まなくて、いいのね」

私「うん」

麻友「じゃ、おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2020年11月15日23時48分である。おしまい。



 以下、『女の人のところへ来たドラえもん』より、引用。

 定義 18

 ものの集まりである『集合』という言葉を定義する。

 集合は、今は説明できないが、22個ほどの公理(約束事)を満たすものとして、定義される。

 まだ、証明できないが、あるものの集まりが、集合であることが分かっているとき、そのものの集まりのうちの集まっているものの一部だけを集めた集まりは、やっぱり集合になるということが、後に証明される。

 だから、集合の一部分は、集合だと知っていると役に立つ。

 この集合の一部分は、元の集合の部分集合という。

 こういう、集合という言葉を使うことを、認める。

 定義 18 終わり




 定義 19

 自然数{1}を、袋に入れたものを想像して、それを、

{ \{ 1 \} }

と、表す。

 これが、集合だと認める。

 これを、{1}を要素とする集合と呼ぶ。

 定義 19 終わり




 定義 20

 自然数{A}{B}があったとき、{A}{B}を袋に入れたところを想像し、それを、

{ \{ A,B \} }

と表す。

 これが、集合だと、認める。

 これを、{A}{B}を要素とする集合と呼ぶ。

 定義 20 終わり



 例 21

 以下のものは、集合である。

{ \{ 1+1 \} }

{ \{ 1,1+1 \} }

{ \{ 1+1,1+1+1 \} }

{ \{ 1,1 \} }

{ \{ 1,1+1+1+1+1 \} }

 例 21 終わり



 公理 22(I.集合になるための十分条件

{\forall X \forall Y ( X \in Y \Longrightarrow m(X))}

何かの要素になれば、集合である。

 公理 22 終わり


 定義 23と、定義 24 は、今はあまり関係ない。







 定義 23

 集合{R}が、空集合でないとする。

 このとき、{R}の2つの要素、{x,y}に対し、{R}の新しい要素を決める約束事が決まっていて、その新しい要素を、{x+y}と、表すことになっていたとしよう。

 次に、{R}の2つの要素、{x,y}に対し、{R}の新しい要素を決める先ほどとは違う約束事が決まっていて、その新しい要素を、今回は、{xy}と、表すことになっていたとしよう。

 さて、上のような約束事を演算(えんざん)といい、{+}の方の演算を、加法(かほう)といい、もう一方を、乗法(じょうほう)とよぶ。

 そして、演算が、次の3条件を満たすような集合{R}を、環(かん)であるという。環をつくる。環をなす。ともいう。

(1){R}は、加法に関し、可換群(かかんぐん)である。

    可換群とは、次のA,B,C,Dが成り立つもののことである。

    A.{(x+y)+z=x+(y+z) \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}(加法の結合法則

    B.{Rの要素zで、任意のxに対し、x+z=x}
        {となるものが、存在する。}(零元の存在)

    C.{Rの任意の要素xに対し、上で存在するといわれているzについて、}
        {x+x'=zとなるようなx'が、存在する。}(加法の逆元の存在)

    D.{x+y=y+x \ \ \ \ (\forall x,y \in R)}(加法の交換法則)


(2)乗法に関する結合法則が、成り立つ。すなわち、

    {(xy)z=x(yz) \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}

   が成り立つ。


(3)加法と乗法の間に分配法則が、成り立つ。すなわち、

    {x(y+z)=xy+xz \ ,\ (x+y)z=xz+yz \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}

   が成り立つ。

 以上です。

 定義 23 終わり




 定義 24  秒

 私達は、後に改めて定めるまで、時間を計る基準として、渡辺麻友スマホの時計に表示される時間を用いる。

 基本的に、単位は、秒{(\mathrm{s})}であり、分{(\mathrm{m})}や、時間{(\mathrm{h})}も、用いる。

 定義 24 終わり





『整数環(その3)』より



 定理 25    足し算の結合法則

 自然数{A,B,C} について、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

が成り立つ。

 証明

 今、3つの自然数を、次のようなものとしよう。

{A=1+1+1}

{B=1+1+1+1}

{C=1+1}

 この時、

{A+B+C}

として、

{(1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1)=1+1+1+1+1+1+1+1+1}

を結果として与えることに定義すると、これは、

{(A+B)+C= \bigl((1+1+1)+(1+1+1+1)\bigr)+(1+1)}

と、同じであり、

{A+(B+C)=(1+1+1)+\bigl((1+1+1+1)+(1+1)\bigr)}

とも同じである。

 ここで、同じであるとは、つまり、1の並んでいる絵が、模様として同じであるということである。

 ただし、括弧『()』は、見る人のためにつけてあるだけで、自然数の絵としては、そんなものはないとする。

 そうすると、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

であり、足し算の結合法則が、成り立つ。

 そこで、以後、

{A+B+C=(A+B)+C=A+(B+C)}

を、{A+B+C}の定義とする。

 定理 25 証明終わり

 証明できているのだろうかと、余り悩まないで。


 現在2020年11月15日23時37分である。おしまい。



 定義 26 座標

 {A,B} を自然数とするとき、

 {(A,B)}

のように、括弧(かっこ)でくくって、2つの自然数を書いたものを、自然数に値(あたい)をとる座標(ざひょう)という。

 {(A,B)=(C,D)}

の時には、

 {A=C かつ B=D}

が成り立っているものと、約束する。

 定義 26 終わり



 公理 27

 自然数全部の集まり、

{\mathbb{N}=\{X|\forall Y(1 \in Y \wedge \forall Z(Z \in Y \Rightarrow Z+1 \in Y) \Rightarrow X \in Y) \} }

は、集合である。

 公理 27 終わり


 1が入っていて、Zが入ってれば、Z+1も入っていて、そういうものだけなのは、自然数の集合だけ。

 そして、その自然数が、集合になると、公理で定める。


 ただし、私達の自然数というとき、{\mathbb{N}} と表したときは、0は含まないとする。自然数を、{\omega} (オメガ)と表したときは、{0} を含むとしよう(正確には、集合論では空集合 {\emptyset}{0} と定義し、{\omega} に入っていると、する)。集合論では、自然数の集合を、{\omega} と表すのは、一般的である。私達は、このように、使い分けよう。



 注 上のように、{\mathbb{N}} を、{0} が入らないものと、前回、定義したが、大学の数学では、{0}自然数に含めるのは、常識であり、1から始める数学の私達も、自然数にゼロを含めるのが、いずれ当然になる。初めは、煩わしいかも知れないが、そこで用いられている自然数という言葉が、ゼロを含むかどうか、常に意識していて欲しい。




 定義 28 正の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X+n,X)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数の {n} と呼び、混乱の恐れのないときは、これも、{n} と書く。

 定義 28 終わり



 定義 29 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)

{\mathbb{N \times N}:= \{(m,n)|m \in \mathbb{N} \wedge n \in \mathbb{N} \} }

と、定義して、左辺を、自然数 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)という。{\mathbb{N}^2} とも書く。

 定義 29 終わり

『:=』という記号は、右辺によって、左辺を定義する。という記号。

 今後は、これらは、同じものとするよ、という意味だと思って欲しい。



 定義 30 整数のゼロ

 以下の集合を、整数のゼロと呼ぶ。

{0:=\{ (X,X) |X \in \mathbb{N} \}}

 定義 30 終わり



 定義 31 負の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X,X+n)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数のマイナスエヌと呼び、混乱の恐れのないときは、これを、{-n} と書く。

 定義 31 終わり


 混乱の恐れのないとき、というのは、私達の自然数は、{1+1+1} みたいなものだけであった。

 ところで、ここで定義した、マイナスさんというのは、

{\{(1,1+1+1+1),(1+1,1+1+1+1+1),\cdots \}}

というような、集合である。これが、整数のマイナスさんなのだ。

 ところで、混乱の恐れがないときは、これを、{-(1+1+1)} と、表しますよ。という注意なのである。

 {3} は、{1+1+1} の省略記号だから、{-3} と、書くことも許される。念のため。



 定義 32 整数の加法

 2つの整数、{[(A,B)]} と {[(C,D)]} に対し、それらの和を、

{[(A,B)]+[(C,D)]:=[(A+C,B+D)]}

によって、定義する。これを求める算法を、加法という。

 定義 32 終わり


 これは、実際に試してみないと、実感が湧かないであろう。







 定義 33 マイナス

 整数、{n=[(A,B)]} に対し、

{-n:=[(B,A)]}

によって、マイナスエヌを定義する。

 定義 33 終わり




 定義 34 減法

 整数 {m,n} に対し、

{m-n:=m+(-n)}

を、エム引くエヌといい、この演算を減法という。引き算ともいう。

 定義 34 終わり




 この定義を、もっと分かり易いものに、そのうち変えるね。

 定義 35  乗法

 {A,B} を、自然数とする。

 {B=1} のとき、

 {A \times B=A \times 1=A}

と、定める。

 次に、自然数{C} を用いて、

{B=C+1} と、表されるとき、

 {A \times B =A \times (C+1) =A \times C+A}

と、定める。

 自然数は、{1} をいくつかつなぎ合わせたものであったから、{B} は、どちらかに分類される。

 そして、{1} の個数は有限個であるから、ある回数下の場合が起こった後は、{B} は、{1} になり、{A \times B}は、ある個数、{1} の並んだものとなる。

 これを、{A,B} の積という。

 そして、積を求める算法を、かけ算、または、乗法という。

 定義 35 終わり




 定理 36

 {n} を、自然数とするとき、

{10^n=1\underbrace{0 \cdots 0}_{n}}

{10^{-n}=\underbrace{0.0 \cdots 0}_{n}1}

が、成り立つ。

 証明

 小数点を実際に動かすことで分かる。

 定理 36 証明終わり


{10^{-3}=\underbrace{0.00}_{3}1} とか、やったね。



 以上で、『整数環』の連載の中の、定義、公理、定理は、終わりである。




 定義 37  自然数の乗法 (定義35改)

{A=1+1+1+1,B=1+1+1} とするとき、{A \times B} を次のように定義する。

{A \times B =(1+1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)}
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~B~~~=~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1}

 つまり、{B} の3つの {1} を、{A}{1+1+1+1} で、置き換えたんだ。

 代入したと言ってもよい。

 定義 37 終わり




 定理 38  乗法の交換法則

 {m,n}自然数とするとき、{m \times n=n \times m} が、成り立つ。



という定理だ。

 さて、これを、証明するとき、次のように、やる。


 第1段階

 任意の自然数{m} について、{n=1} のとき、成り立つことを、証明する。

{m \times n=n \times m} で、左辺は {m \times 1} であるから、{m}{1} に代入して、

{m \times 1 = m}
{~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~~1=1}


 一方右辺は、{1 \times m} であるから、{1} を、{m} 個の {1} に代入して、

{1 \times m = \overbrace{1+ \cdots +1}^m}
{~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~m=\underbrace{1+ \cdots +1}_m}


である。従って、両辺が等しくて、{n=1} のとき、成り立つ。

「なんか、当たり前の気がするけど」

 いや、いつも、第1段階は、こうなんだ。


 第2段階

 任意の自然数{m} について、自然数 {k} 以下のすべての自然数 {n} について、定理が成り立つとして、{n=k+1} でも定理が成り立つことを、証明する。

 仮定より、{m \times k=k \times m} である。

 {m \times (k+1) =(k+1) \times m} を、証明したい。

 さて、左辺を計算して、右辺を導出できれば良いが、途中で、行き詰まる。

 こういうときは、右辺の方から、お迎えに行った方が、良いこともある。

{(k+1) \times m = \overbrace{(k+1)+ \cdots +(k+1)}^m}
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}  {m} 個の {1}{(k+1)} を代入。
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~m= \underbrace{1+ \cdots \cdots \cdots +1}_m}  つまり {(k+1)}{m} 個。

 右辺を整理して、

{~~~~~~~=k \times m +m}

 帰納法の仮定より、

{~~~~~~=m \times k + m}

{~~~~~~~= \overbrace{m+ \cdots +m}^k +m}
{~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~ \uparrow}  {m \times k}{k} 個の {1}{m} を代入したと捉える。
{k+1= \underbrace{1+ \cdots +1}_k~+1}


{~~~~~~~~~= \overbrace{m+ \cdots +m}^{k+1}}
{~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}  仲間はずれの、{m} を加えて、まとめる。
{k+1= \underbrace{1+~ \cdots ~+1}_{k+1}}  {m}{k+1} 個と捉える。


{~~~~~=m \times (k+1)}

 以上で、求めたかった式が得られた。

「うっ、結構難しいわね」

 ひとつひとつの式の変形が、ギャップのあるものに感じられるかも知れないけど、これくらいに、付いてこられないと、この先、厳しい。

「太郎さん、意欲のある中学生でも読めるようにすると言っておきながら、突き放すのね」

 ある水準まで、読者のレヴェルを上げないと、面白い話が書けないんだ。

「私は、『フーリエの冒険』だって、難しいレヴェルよ」

 難しい部分は、何度も説明するよ。

 さて、


 第3段階

 以上により、全ての自然数 {n} に対して、{m \times n=n \times m} が、成立する。{m} も、任意だったから、任意の自然数 {m,n} について、乗法の交換法則が、成り立つことが、証明された。

   証明終わり


 この投稿は、途中に終了時刻が、書いてある。おしまい。

0から始める数学(その4)

 現在2020年9月3日10時32分である。

麻友「一応、この連載も、続けるのね」

若菜「4回目まで、来てますが、ほとんど進んでませんね」

私「今日は、早い時間から始めたから、かなり進めるつもりだ」

結弦「どういう話?」

私「以前、ドラえもんのブログで、{1+1} の省略記号として、{2} を、定義した。だけど、{1+1+1} の省略記号として、{3} を定義することなどは、やらなかった。そういう、未消化の部分を、補いたい」

麻友「このブログでは、


 定義 1    1(いち)

 月の個数は1個、あるいは、宇宙の個数は1個、などというときの、『1個』という概念を記号『1』で表し、通常『いち』と読む。

 定義 1 終わり


と、なっていた。しつこくなるから、宝塚の話は、カットよ」

若菜「ドラえもんのブログでは、


 定義 2

 新しく、『{+}』という記号を導入する。

 これを、普通、『たす』とか、『プラス』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 2 終わり



 定義 3

 定義 1で、定義してある、『{1}』(いち)と、

 定義 2で、定義してある、『{+}』(たす)とを用いて、

{1+1}』という記号の列を作ることを許す。

 『{1+1}』を、通常『いち、たす、いち』と、読む。

 『{1+1}』が、何を表しているかは、後で別に定める。

 定義 3 終わり



 定義 4

 新しく、『{=}』という記号を導入する。

 これを、普通、『イコール』とか、『~は、…』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 4 終わり



と、進みますね」

私「そして、イコールの使い方を定義するが、こんな風に、模様として等しければ、イコールだ、なんていう定義は、数学が進むと、通用しなくなるのだが、今は、そうしておこう」




 定義 5

 記号、

{1}

は、自然数であると定める。

 定義 5 終わり




 定義 6

 記号、

{1+1}

は、自然数であると定める。

 定義 6 終わり




 定義 7

 自然数が2つある時、その2つが、模様として同じなら、記号『{=}』で結ぶことを許す。

 つまり、自然数{A}と、{B}が、記号の並びとして同じなら、

{A=B}

と書けると定義するのである。

 定義 7 終わり



私「より一般のイコールの定義は、1から始める数学の段階から、0から始める数学の段階に移ったとき、見せるよ」

若菜「そして、やっと、{2} ですが」



 定義 8

 新しく、『{2}』という記号を導入する。

 これを、普通、『に』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 8 終わり




 定義 9

 記号『{2}』を、『{1+1}』の省略記号であると定める。

 これにより、『{2}』と書いてあったら、本来そこには、『{1+1}』と書いてあるのだと、思うわけである。

 定義 9 終わり


私「この定義を、改造しよう」


 定義 8 (改)

 新しく、『{2,3,4,5,6,7,8,9}』という記号を導入する。

 これを、普通、『に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 8 終わり


 定義 9 (改)

 記号『{2}』を、『{1+1}』の省略記号であると定める。

 これにより、『{2}』と書いてあったら、本来そこには、『{1+1}』と書いてあるのだと、思うわけである。

 同様に、

{3=1+1+1}

{4=1+1+1+1}

{5=1+1+1+1+1}

{6=1+1+1+1+1+1}

{7=1+1+1+1+1+1+1}

{8=1+1+1+1+1+1+1+1}

{9=1+1+1+1+1+1+1+1+1}

というように、右辺の省略記号として、左辺の数字を、定義する。

 これにより、『{7}』と書いてあったら、本来そこには、『{1+1+1+1+1+1+1}』と書いてあるのだと、思うわけである。

 定義 9 終わり


麻友「ああ、これで、{9} まで、使えるように、なったわね。じゃあ、{10} は?」

私「まだ、{0} を定義していないから、{10} とは、書けない」

結弦「でも、{10} 個の {1} の並びは、{9+1} と、書くことは、できるよね」

私「うん」

若菜「{8+2} でも、いいですね」

私「もちろん」

麻友「あっ、そうなんだ。じゃあ、{10} 以上でも、表せないことは、ないんだ」

私「そうだよ」

若菜「その後、ドラえもんのブログでは、{1+1} が、{1} とは、違うということを、導きました。イコールで、結べるのは、両辺が同じ模様のときだけだから、ということを、利用して」



 定理 10

{1+1 \neq 1}

 すなわち、

{2 \neq 1}

が、成り立つ。

 証明

{=}』の定義より。

 証明終わり


 ただし、


 定義 11

 新しく、『{\neq}』という記号を導入する。

 これを、普通、『等しくない』と読む。

 『{=}』が、成り立たない時、この記号に、置き換える。

 定義 11 終わり



麻友「この辺から、気をつけて読んでいないと、分からなくなりだしたのよね」

結弦「自然数とは、何か、足し算とは、何か、と、どんどん難しくなる」




 定義 12

 {A}{B}が、すでに自然数だと分かっているとする。

 この時、{+}の記号を用いて、

{A+B}

と書かれる記号の列は、自然数である。

 定義 12 終わり




 定義 13

 {A}{B}自然数であるとき、定義 12 により、

{A+B}

は、自然数である。

 この、{A}{B}に、{A+B}を対応させる操作を、

『エイ、たす、ビー』

という。

『エイ、と、ビー、の足し算』

とも言う。

 定義 13 終わり


若菜「そして、加法の交換法則まで、出てきた」



 定理 14

 任意の自然数{A}{B}について、

{A+B=B+A}

が、成立する。

 証明

 {A+B=B+A}ということは、等号の左辺と右辺の模様が同じということだった。

 この場合、並んでいる{1}の数が、等しいということだ。

 {A}に並んでいる{1}の数と{B}に並んでいる{1}の数は、順番を入れ換えても、変化しないはずである。

 だから、{A+B}{1}の数と{B+A}{1}の数は、等しいはずである。

 よって、{A+B=B+A}が、証明された。

 証明終わり



麻友「加法の交換法則は、この証明で、良かったの?」

私「証明という言葉を、定義することも、できるんだけど、その場合は、『これこれの立場での証明とは、こういうものである』というように、あくまでも、立場を明確にしなければ、ならない。私達は、『私達の立場での証明は、相手を納得させられる議論ができるものとする』という程度の、ある程度幅のある定義を採用していることに、なるんだ」

若菜「不等号についての、次の証明も、そういう立場ですか」

私「そうだよ」



 定義 15

 {A}{B}を、自然数とする。

 このとき、{A+C=B}となる、自然数{C}が、ある時、

{A < B}(エイ、しょうなり、ビー、と読む。)

と書くことに、定める。

 また、{A=B+C}となる、自然数{C}が、ある時、

{A > B}(エイ、だいなり、ビー、と読む。)

と書くことに定める。

 定義 15 終わり




 定義 16

 ある定義が、矛盾なくきちんと定義できていることを、

『ウェルデファインド{(\mathrm{well}}-{\mathrm{defined})}である。』

と言う。

 定義 16 終わり




 定理 17

 自然数{A}{B}について、

{A < B}{A=B}{A > B}の3つのうち、1つそして1つのみが、成り立つ。

 証明

1){A=B}が、成り立つ時、自然数{C}を持ってきて、{A+C}とすれば、{A+C=B}ではなくなるし、また、{B+C}とすれば、やはり{A=B+C}ではなくなるので、{A=B}のときは、{A < B}{A > B}は、成り立たない。

2){A=B}でない時。

私達の自然数は、{1}を並べたものに限られるので、左辺か右辺のどちらかが、{1}が多いのである。

2)-1)右辺の方が、多かったとしよう。この場合、足りない数だけの{1}を、用意し、{+}でつなぎ合わせて、自然数{C}を作ると、{A+C=B}となる。この時、{A < B}である。

 ところで、この場合、{A}より{B}の方が、{1}の数が多いので、{A=B+C}とは、ならない。

 従って、この時、{A > B}とは、ならない。

2)-2)左辺の方が、多かったとしよう。この場合、2)-1)の議論と同じようにして、{A > B}が、証明される。

 そして、この時、{A < B}とは、ならない。

3)以上により、すべての場合がつくされていて、どの2つも重ならないことが証明された。

 証明終わり



麻友「『1から始める数学』の(その15)まで、一気に振り返って、さらに、手を加えたわね」

私「あの連載のクライマックスは、ゼロを作るところなんだけど、その辺りでは、あまり定義とか、定理とか、って、纏めなかったね」

若菜「ただ、その後の、『整数環』の連載や、『有理数体』の連載で、補っては、いましたけど」

私「うん。ちょっと、長くなりすぎるので、ここで、一旦投稿するよ。これから、マックへ行って、お昼を食べてくる」

麻友「暑さ、気をつけてね」

私「それじゃ、解散」

 現在2020年9月3日13時03分である。おしまい。