1から始める数学

数字の1を定義するところから始めて現代数学を築きます。ブログの先頭に戻りたいときは、表題のロゴをクリックして下さい。

現代論理学(その46)

 現在2023年11月15日16時23分である。(この投稿は、ほぼ4285文字)

麻友「随分、早い時間に始めたわね」

私「問題が、解決したんだ」

若菜・結弦「うふっ」


麻友「どの問題?」

私「麻友さんが、『{=} と、{\equiv} って、どう使い分けるのですか?』と、聞いたな?」

麻友「聞いたわ。湯川さんの愚問のはずだった」

私「最初に、この本を読んだとき、1998年9月で、デイケアでと、メモもあるが、私には、とても、分からなかった。だが、『そういうものなのだろう』と、受け入れて、先に進んだ。集合論まで、解かなければならない問題は、山積しており、細かいところまで、目を向ける余裕は、なかった」

若菜「今回、解けたのですか?」

私「条件を、ひとつひとつ、チェックしていく。{p_1 \equiv p_2} というのは、真偽表で、


*******************************


麻友「あっ、同値! そうよ、『{\equiv}』 の真偽表

{\begin{array}{c|c|c}
A & B & A \equiv B \\
\bigcirc &\bigcirc & \bigcirc \\
\bigcirc & \times & \times \\
\times & \bigcirc & \times \\
\times & \times & \bigcirc \\
\end{array}}

と、同じだわ」


*******************************
          (『現代論理学(その24)』より)

だったな」

結弦「それは、覚えている。でも、今回、{\models A \equiv B} となると、{A \equiv B} が、トートロジーということになる。つまり、{\times} だったところが、全部、{\bigcirc} でないと、ならない」

私「そこが、難しかったんだ。


{\displaystyle A=B \stackrel{\mathrm{def.}}{\Longleftrightarrow} \models A \equiv B}


の左辺の{=} を、成り立たせるには、定義により、{A \equiv B} が、トートロジーでなければならないが、{=} じゃないものを、作るには、{A \equiv B} と、書けてるけど、何カ所か、{0} が、現れていなければ、ならない」

若菜「お父さんは、{\models A \equiv B} を、壊そうとしているんですか? 同値だけど、偽(つまり0)と、偽(つまり0)という意味で、何カ所かだけが真になってるような、論理式」

私「これは、やってみれば分かるが、そんなに簡単では無い」

麻友「最後の閃きは?」

私「2023年11月15日17時40分14秒」

若菜「パッと閃くんですか?」

私「学問とは、真似ぶものだ。テキストの、7ページを見て御覧」


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 例1 論理式 { \neg p_1 \vee p_3 \equiv \neg (p_3 \Rightarrow p_1)} の真理値の計算

{\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c}

p_1 & p_3 & \neg p_1 & \neg p_1 \vee p_3 & p_3 \Rightarrow p_1 & \neg (p_3 \Rightarrow p_1) & \neg p_1 \vee p_3 \equiv \neg (p_3 \Rightarrow p_1)\\
\hline
1 & 1 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0\\
1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1\\
0 & 1 & 1 & 1 & 0 & 1 & 1\\
0 & 0 & 1 & 1 & 1 & 0 & 0\\

\end{array}}


 つまり,与えられた論理式の帰納的な形成の過程にそって順次,部分論理式(subformula)の真理値を計算してゆき、最後に論理式全体の真理値に到達するわけである.しかし,この過程は,次のように真理値を各記号の下方に直接記入することによって、より簡明に示すことができる.〔その際,論理式の最終的な値は一番外側の結合子(この例では {\equiv} )の下に記される.〕


{

~\neg p_1 \vee p_3 \equiv \neg (p_3 \Rightarrow p_1)\\

0~~~ 1~~  1~~ 1~~ 0~~  0~~1~~~1~~1\\
0~~~ 1~~  0~~ 0~~ 1~~  0~~0~~~1~~1\\
1~~~ 0~~  1~~ 1~~ 1~~  1~~1~~~0~~0\\
1~~~ 0~~  1~~ 0~~ 0~~  0~~0~~~1~~0\\
~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow この列
}



*******************************
(『現代論理学(その22)より』)

結弦「あっ、そのものじゃない。この一番下の、{0}{1} を、入れ換えたら、お父さんの作りたい、同値だけど、偽(つまり0)が、混じっているものになる。つまり、同値だから、{A \equiv B} だけど、{A = B} でないものが、作れた。お母さんの湯川さんの愚問への答えになる」

麻友「太郎さんは、研究ノート8に、丁寧に書いている。

{\begin{array}{c|c|c|c|c|c}

p_1 & p_2 & \neg p_1 & \neg p_1 \vee p_2 & p_2 \Rightarrow p_1 & \neg p_1 \vee p_2 \equiv (p_2 \Rightarrow p_1)\\
\hline
1 & 1 & 0 & 1 & 1 & 1\\
1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0\\
0 & 1 & 1 & 1 & 0 & 0\\
0 & 0 & 1 & 1 & 1 & 1\\

\end{array}}

綺麗に、{ \neg p_1 \vee p_2 \equiv (p_2 \Rightarrow p_1)} は、{A \equiv B} と、同値だけど、同値なことが、トートロジーではないから、{A = B} ではないことが、示されている。微妙に否定の記号を、1つ外しているのね。結弦が、『{0}{1} を、入れ換えたら』と言っているの、分かってたのね」

私「数学の本というのは、こういう風に、著者が当たり前と思ったことが、読んでいる方がサッパリ分からず、何日も(あるいは25年も?)悩むことがある。授業に出ていれば、先生に聞けば良いが、独学していると、本当に難問になる。私は、それでも、独学してきた。自分のペースを、乱されたくなかった。それを、アウトプットするためのものが、ブログである。このブログを壊されると、非常に困る」

若菜「実は、お父さんのブログ、愛読者が、何人もいるんですよ。この間も、お父さん、バカみたいに高額な本、買ったでしょう。笑われてますよ」

私「これか。これは、良い時期に買ったので、半額で買えたんだ」

結弦「お父さん。買っても読まないから」

麻友「そうよねえ。20年も、積ん読状態の本、あるものね」

若菜「でも、8年前に、引っ越しているじゃないですか。それでも、減らせないって、よっぽど大切なんですかね?」

麻友「置いてきた本って、どんな本だったの?」

私「実は、私の本棚は、いずみ野に居るとき作った。引っ越したとき、300冊以上、置いてきたが、リストからは、消してない。だから、置いてきた本も、リストに残っている。でも、困ったことはない」

若菜「どんな本を、置いてきたんですか?」

私「放送大学の教科書。数学セミナー50冊以上。雑誌パリティ2年分。天文年鑑2015年より前。いや、思い出せる本は、置いてきていない。どうでも良い本を、置いてきたんだ」

若菜「なるほど、そうですか」

麻友「今も持っているブルバキが、従兄弟を驚かしたと、聞いてるけど」

私「私の最初の入院中。つまり、2014年。父方の祖母が亡くなり、葬儀を行った。そのとき、父の妹のうちの、幸せになった方は、来たんだけど、もうひとりは、来なかった。このとき、行方不明だと分かったのだが、ご主人と娘、息子は、来たらしい。息子について、書いたことがあったかも知れないが、現役で、東京大学理科一類に入り、数学科志望だと聞いていた。そして、いずみ野の家に来たとき、ブルバキ37巻を見て、『おじいさん、こんな本も、持っていらしたのですか? あっ、太郎さんの本ですね』と、一瞬で、理解したと、母が言っていた。『さすが東大』と、思ったのかも知れないが、それを、聞いて私は、『そりゃー、びっくりしたでしょ。ブルバキ全巻持っているなんて』と、言ったが、母に通じたかどうか?」

麻友「どういうことなの?」

私「その従兄弟は、大学院へ進まなかったが、あれを見たら、太郎さんは、数学者になるつもりだったんだなと、分かったと思う」

結弦「高校の数学の先生とかでなく?」

私「研究者を目指してもいない人間で、ブルバキ全巻、持っているなんて、気違い沙汰」

若菜「確かに、気違いになってる」

私「今日は、ここまでだな。湯川さんの愚問への答えになったかな?」

麻友「分からないから、愚問を投げたんだけど、ほんのちょっぴり、トートロジーというのが、分かったわ。ゆっくり進んでよ」

私「そうする。解散」

 現在2023年11月15日21時57分である。おしまい。