1から始める数学

数字の1を定義するところから始めて現代数学を築きます。ブログの先頭に戻りたいときは、表題のロゴをクリックして下さい。

宝塚の自然数の乗法の交換法則

 現在2022年12月8日22時03分である。(この投稿は、ほぼ3136文字)

麻友「今日も、まだ、鬱から抜け出せないの?」

私「どうしても、本調子になれない」

若菜「宝塚の自然数の乗法の定義は、何度か、変えたのですよね」

私「そう。一応、どう決着を付けたか、書いておきたい。


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 定義 39  自然数の乗法 (定義35,37改)

{A=1+1+1+1,B=1+1+1} とするとき、{A \times B} を次のように定義する。


{~~~~~~B~~~=~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1}

{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow}

{A \times B =(1+1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)}

 つまり、{4 \times 3} で、{4} が、{3} 個だから、{B} の3つの {1} を、{A}{1+1+1+1} で、置き換えたんだ。

 代入したと言ってもよい。

 定義 39 終わり


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               (『0から始める数学(その7) - 1から始める数学』より)

とした」


麻友「そういうことも、あったわね」

私「この定義を、もとに、乗法の交換法則を、証明する。


 定理 38(改)  乗法の交換法則

 {m,n} を宝塚の自然数とするとき、{m \times n=n \times m} が、成り立つ。



という定理だ。

 さて、これを、証明するとき、次のように、やる。


 第1段階

 任意の自然数{m} について、{n=1} のとき、成り立つことを、証明する。

{m \times n=n \times m} で、左辺は {m \times 1} であるから、{m}{1} に代入して、

{~~~~~~~~1=1}
{~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow}
{m \times 1 = m}


 一方右辺は、{1 \times m} であるから、{1} を、{m} 個の {1} に代入して、

{~~~~~~~m=\overbrace{1+ \cdots +1}^m}
{~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~~~~~~~~~~\downarrow}
{1 \times m = \underbrace{1+ \cdots +1}_m}


である。従って、両辺が等しくて、{n=1} のとき、成り立つ。

「なんか、当たり前の気がするけど」

 いや、いつも、第1段階は、こうなんだ。


 第2段階

 任意の自然数{m} について、自然数 {k} 以下のすべての自然数 {n} について、定理が成り立つとして、{n=k+1} でも定理が成り立つことを、証明する。

 仮定より、{m \times k=k \times m} である。

 {m \times (k+1) =(k+1) \times m} を、証明したい。

 さて、左辺を計算して、右辺を導出できれば良いが、途中で、行き詰まる。

 こういうときは、右辺の方から、お迎えに行った方が、良いこともある。

{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~m= \overbrace{1+ \cdots \cdots \cdots +1}^m}  つまり {(k+1)}{m} 個。
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow}  {m} 個の {1}{(k+1)} を代入。
{(k+1) \times m = \underbrace{(k+1)+ \cdots +(k+1)}_m}

 右辺を整理して、

{~~~~~~~=k \times m +m}

 帰納法の仮定より、{m \times k=k \times m} である。よって、

{~~~~~~=m \times k + m}

{~~~~~~~~~~~k+1= \overbrace{1+ \cdots +1}^k~+1}
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~ \downarrow}  {m \times k}{k} 個の {1}{m} を代入したと捉える。
{m \times k + m= \underbrace{m+ \cdots +m}_k +m}


{~~~~~~~~~~~k+1= \overbrace{1+~ \cdots ~+1}^{k+1}}  {1}{k+1} 個と捉える。
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~~~~~~~~~~~\downarrow}  仲間はずれの、{m} を加えて、まとめる。
{m \times (k + 1)= \underbrace{m+ \cdots +m}_{k+1}}  {m}{k+1} 個と捉える。


{~~~~~=m \times (k+1)}

 以上で、求めたかった式が得られた。

「うっ、結構難しいわね」

 ひとつひとつの式の変形が、ギャップのあるものに感じられるかも知れないけど、これくらいに、付いてこられないと、この先、厳しい。

「太郎さん、意欲のある中学生でも読めるようにすると言っておきながら、突き放すのね」

 ある水準まで、読者のレヴェルを上げないと、面白い話が書けないんだ。

「私は、『フーリエの冒険』だって、難しいレヴェルよ」

 難しい部分は、何度も説明するよ。

 さて、


 第3段階

 以上により、全ての自然数 {n} に対して、{m \times n=n \times m} が、成立する。{m} も、任意だったから、任意の自然数 {m,n} について、乗法の交換法則が、成り立つことが、証明された。

   証明終わり


私「これが、現在、わたくしが、この定理に出来る最良の証明である」

結弦「少し分かり易くなったよ」

若菜「お父さんって、こういう易しい定理にも、もっと良い証明はないかと、追求してるんですね」

私「今日は、もう22時53分で、眠い。解散」

 現在2022年12月8日22時55分である。おしまい。