1から始める数学

数字の1を定義するところから始めて現代数学を築きます。ブログの先頭に戻りたいときは、表題のロゴをクリックして下さい。

現代論理学(その41)

 現在2022年11月23日19時58分である。(この投稿は、ほぼ14891文字)

麻友「私の知っていること、全部?」

私「数学に関することだけでいいから」

既に知っていること

*******************************

麻友さんが、これまでに、数学に関して、知っていること。


(1)麻友さんの人生で、起こったこと。


(2)小学校の算数

  (ⅰ)実数の足し算引き算掛け算割り算

  (ⅱ)正三角形や、二等辺三角形、直角三角形、ひし形、長方形、平行四辺形、正方形、台形、などの図形の名前

  (ⅲ)速さは、距離割る時間などの、単位の扱い方


(3)中学校の数学

  (ⅰ)実数が、有理数と、無理数からなるという事実

  (ⅱ)平行線の同位角が、等しいなどの、幾何学(きかがく)の知識

  (ⅲ)文字式の展開、因数分解の知識(2次式まで)

  (ⅳ)関数というものの概念

  (ⅴ)三角比の知識

  (ⅵ)3の倍数の見つけ方


(4)高校の数学

  (ⅰ)文字式の展開、因数分解の知識(3次式以上)

  (ⅱ)三角関数

  (ⅲ)複素数

  (ⅲ)数列

  (ⅳ)ベクトル

*******************************


麻友「これくらいかなぁ。でも、数列やベクトルは、本当に、ちょっとだけよ」

私「なるほど、これくらいか。文系の女の人の知っていることって、これくらいだよな」

若菜「お母さんを、いじめるために、こんなこと、してるんですか?」

使える武器

私「いや、第一不完全性定理に、挑むに当たって、どれくらいの武器が、使えるのかなあと、思って」

結弦「足りるのかなあ?」

私「私が、この本のレビューに書いているように、

この本は、全く無から、第1不完全性定理まで、ギャップなく証明が、付いている。こんな本を書けたことを、安井邦夫さんが、入学した年、喜んでいたと、以前書いたね」

若菜「全く無から、とは、どういう意味ですか?」

私「{1+1} が、{2} であることにも、証明が付いてる」

麻友「太郎さんの『1から始める数学』も、全部、私を、納得させて進んだことを、考えると、レヴェルとしては、ほとんど同じね」

数学基礎論の登竜門

私「『(Gentzen による)1階の述語論理の、無矛盾性定理』、『(Gödelによる)1階の述語論理の、完全性定理』、『(Gödel)による)1階の述語論理の、不完全性定理』のうち、2つくらい証明を読破したら、数学基礎論に入門したと言ってよいだろうと、以前、数学セミナーに書いてあった。私自身は、もっと先まで進んでいるが、この本を読んだとき、得たものは、その後、非常に役に立っている。『自分の数学は、ここまでのレヴェルでは、絶対正しい』と、言い切れる範囲が、受験数学から、一気に、大学での数学の中枢まで、広がる」

若菜「ワクワクします」

1から始める数学

私「『現代論理学』の第Ⅲ章に入るに当たって、『1から始める数学(~その15)』を要約した、

mayuandtaro.hatenablog.com

を、振り返って、いくつか復習する。


 定義 1

『1個と言ったり、一つと言ったり、一組と言ったり、ややこしいけど、麻友さんには、どれも同じように、個数が1つのものを表す言葉だと分かるだろう。』

という文章で使った、

『個数が1つのもの』

という言葉の、

『個数が1つ』

という抽象的概念を、

{1}

と、表す。

 通常は、これを、『いち』と読む。

 定義 1 終わり



 定義 2

 新しく、『{+}』という記号を導入する。

 これを、普通、『たす』とか、『プラス』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 2 終わり



 定義 3

 定義 1で、定義してある、『{1}』(いち)と、

 定義 2で、定義してある、『{+}』(たす)とを用いて、

{1+1}』という記号の列を作ることを許す。

 『{1+1}』を、通常『いち、たす、いち』と、読む。

 『{1+1}』が、何を表しているかは、後で別に定める。

 定義 3 終わり



 定義 4

 新しく、『{=}』という記号を導入する。

 これを、普通、『イコール』とか、『~は、…』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 4 終わり



「ちょっと!使い方は、後で定めるとかすると、またつけ込まれるわよ。」

 そうだね。

 じゃあ、その部分を補強しよう。



 定義 5

 記号、

{1}

は、自然数であると定める。

 定義 5 終わり




 定義 6

 記号、

{1+1}

は、自然数であると定める。

 定義 6 終わり



 <模様として同じなら、記号『{=}』で結ぶことを許す。>



 定義 7

 自然数が2つある時、その2つが、模様として同じなら、記号『{=}』で結ぶことを許す。

 つまり、自然数{A}と、{B}が、記号の並びとして同じなら、

{A=B}

と書けると定義するのである。

 定義 7 終わり




 定義 8

 新しく、『{2}』という記号を導入する。

 これを、普通、『に』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 8 終わり




 定義 9

 記号『{2}』を、『{1+1}』の省略記号であると定める。

 これにより、『{2}』と書いてあったら、本来そこには、『{1+1}』と書いてあるのだと、思うわけである。

 定義 9 終わり




 定理 10

{1+1 \neq 1}

 すなわち、

{2 \neq 1}

が、成り立つ。

 証明

{=}』の定義より。

 証明終わり


 ただし、


 定義 11

 新しく、『{\neq}』という記号を導入する。

 これを、普通、『等しくない』と読む。

 『{=}』が、成り立たない時、この記号に、置き換える。

 定義 11 終わり




 定義 12

 {A}{B}が、すでに自然数だと分かっているとする。

 この時、{+}の記号を用いて、

{A+B}

と書かれる記号の列は、自然数である。

 定義 12 終わり




 定義 13

 {A}{B}自然数であるとき、定義 12 により、

{A+B}

は、自然数である。

 この、{A}{B}に、{A+B}を対応させる操作を、

『エイ、たす、ビー』

という。

『エイ、と、ビー、の足し算』

とも言う。

 定義 13 終わり




 定理 14

 任意の自然数{A}{B}について、

{A+B=B+A}

が、成立する。

 証明

 {A+B=B+A}ということは、等号の左辺と右辺の模様が同じということだった。

 この場合、並んでいる{1}の数が、等しいということだ。

 {A}に並んでいる{1}の数と{B}に並んでいる{1}の数は、順番を入れ換えても、変化しないはずである。

 だから、{A+B}{1}の数と{B+A}{1}の数は、等しいはずである。

 よって、{A+B=B+A}が、証明された。

 証明終わり




 定義 15

 {A}{B}を、自然数とする。

 このとき、{A+C=B}となる、自然数{C}が、ある時、

{A < B}(エイ、しょうなり、ビー、と読む。)

と書くことに、定める。

 また、{A=B+C}となる、自然数{C}が、ある時、

{A > B}(エイ、だいなり、ビー、と読む。)

と書くことに定める。

 定義 15 終わり




 定義 16

 ある定義が、矛盾なくきちんと定義できていることを、

『ウェルデファインド{(\mathrm{wellーdefined})}である。』

と言う。

 定義 16 終わり




 定理 17

 自然数{A}{B}について、

{A < B}{A=B}{A > B}の3つのうち、1つそして1つのみが、成り立つ。

 証明

1){A=B}が、成り立つ時、自然数{C}を持ってきて、{A+C}とすれば、{A+C=B}ではなくなるし、また、{B+C}とすれば、やはり{A=B+C}ではなくなるので、{A=B}のときは、{A < B}{A > B}は、成り立たない。

2){A=B}でない時。

私達の自然数は、{1}を並べたものに限られるので、左辺か右辺のどちらかが、{1}が多いのである。

2)-1)右辺の方が、多かったとしよう。この場合、足りない数だけの{1}を、用意し、{+}でつなぎ合わせて、自然数{C}を作ると、{A+C=B}となる。この時、{A < B}である。

 ところで、この場合、{A}より{B}の方が、{1}の数が多いので、{A=B+C}とは、ならない。

 従って、この時、{A > B}とは、ならない。

2)-2)左辺の方が、多かったとしよう。この場合、2)-1)の議論と同じようにして、{A > B}が、証明される。

 そして、この時、{A < B}とは、ならない。

3)以上により、すべての場合がつくされていて、どの2つも重ならないことが証明された。

 証明終わり




 
 ブログ本文で、番号を付けた、定義、公理、定理、は、以上であるが、主に最後の『1から始める数学(その15)』において、整数を作るために、多くの定義を導入している。

 明文化したいが、まだ、できていない。(追記:『整数環(~その7)』で、かなり補った。以下に述べる)



 定理 25    足し算の結合法則

 自然数{A,B,C} について、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

が成り立つ。

 証明

 今、3つの自然数を、次のようなものとしよう。

{A=1+1+1}

{B=1+1+1+1}

{C=1+1}

 この時、

{A+B+C}

として、

{(1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1)=1+1+1+1+1+1+1+1+1}

を結果として与えることに定義すると、これは、

{(A+B)+C= \bigl((1+1+1)+(1+1+1+1)\bigr)+(1+1)}

と、同じであり、

{A+(B+C)=(1+1+1)+\bigl((1+1+1+1)+(1+1)\bigr)}

とも同じである。

 ここで、同じであるとは、つまり、1の並んでいる絵が、模様として同じであるということである。

 ただし、括弧『()』は、見る人のためにつけてあるだけで、自然数の絵としては、そんなものはないとする。

 そうすると、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

であり、足し算の結合法則が、成り立つ。

 そこで、以後、

{A+B+C=(A+B)+C=A+(B+C)}

を、{A+B+C}の定義とする。

 定理 25 証明終わり

 証明できているのだろうかと、余り悩まないで。


『整数環(その5)』より


 定義 26 座標

 {A,B} を自然数とするとき、

 {(A,B)}

のように、括弧(かっこ)でくくって、2つの自然数を書いたものを、自然数に値(あたい)をとる座標(ざひょう)という。

 {(A,B)=(C,D)}

の時には、

 {A=C かつ B=D}

が成り立っているものと、約束する。

 定義 26 終わり



 公理 27

 自然数全部の集まりを、今までこうしてきた。

{\mathbb{N}=\{X|\forall Y(1 \in Y \wedge \forall Z(Z \in Y \Rightarrow Z+1 \in Y) \Rightarrow X \in Y) \} }

 この定義を、0を含む自然数では、

{\mathbb{N}=\{X|\forall Y(0 \in Y \wedge \forall Z(Z \in Y \Rightarrow Z+1 \in Y) \Rightarrow X \in Y) \} }

と、改める。今後は、自然数は、宝塚の自然数といった場合を除き、0を含むとする。

 公理 27 終わり


 1が入っていて、Zが入ってれば、Z+1も入っていて、そういうものだけなのは、自然数の集合だけ。ということである。



 定義 28 正の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X+n,X)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数の {n} と呼び、混乱の恐れのないときは、これも、{n} と書く。

 定義 28 終わり



 定義 29 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)

{\mathbb{N \times N}:= \{(m,n)|m \in \mathbb{N} \wedge n \in \mathbb{N} \} }

と、定義して、左辺を、自然数 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)という。{\mathbb{N}^2} とも書く。

 定義 29 終わり

『:=』という記号は、右辺によって、左辺を定義します。という記号。

 今後は、これらは、同じものとするよ、という意味だと思って下さい。



 定義 30 整数のゼロ

 以下の集合を、整数のゼロと呼ぶ。

{0:=\{ (X,X) |X \in \mathbb{N} \}}

 定義 30 終わり



 定義 31 負の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X,X+n)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数のマイナスエヌと呼び、混乱の恐れのないときは、これを、{-n} と書く。

 定義 31 終わり


 混乱の恐れのないとき、というのは、私達の自然数は、{1+1+1} みたいなものだけでしたね。

 ところで、ここで定義した、マイナスさんというのは、

{\{(1,1+1+1+1),(1+1,1+1+1+1+1),\cdots \}}

というような、集合なんですよ。これが、整数のマイナスさんなのです。

 ところで、混乱の恐れがないときは、これを、{-(1+1+1)} と、表しますよ。という注意なんです。

 {3} は、{1+1+1} の省略記号ですから、{-3} と、書くことも許されます。念のため。



 定義 32 整数の加法

 2つの整数、{[(A,B)]} と {[(C,D)]} に対し、それらの和を、

{[(A,B)]+[(C,D)]:=[(A+C,B+D)]}

によって、定義する。これを求める算法を、加法という。

 定義 32 終わり




 定義 33 マイナス

 整数、{n=[(A,B)]} に対し、

{-n:=[(B,A)]}

によって、マイナスエヌを定義する。

 定義 33 終わり




 定義 34 減法

 整数 {m,n} に対し、

{m-n:=m+(-n)}

を、エム引くエヌといい、この演算を減法という。引き算ともいう。

 定義 34 終わり



 定理 38  乗法の交換法則

 {m,n}自然数とするとき、{m \times n=n \times m} が、成り立つ。



という定理だ。

 さて、これを、証明するとき、次のように、やる。


 第1段階

 任意の自然数{m} について、{n=1} のとき、成り立つことを、証明する。

{m \times n=n \times m} で、左辺は {m \times 1} であるから、{m}{1} に代入して、

{m \times 1 = m}
{~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~~1=1}


 一方右辺は、{1 \times m} であるから、{1} を、{m} 個の {1} に代入して、

{1 \times m = \overbrace{1+ \cdots +1}^m}
{~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~m=\underbrace{1+ \cdots +1}_m}


である。従って、両辺が等しくて、{n=1} のとき、成り立つ。

「なんか、当たり前の気がするけど」

 いや、いつも、第1段階は、こうなんだ。


 第2段階

 任意の自然数{m} について、自然数 {k} 以下のすべての自然数 {n} について、定理が成り立つとして、{n=k+1} でも定理が成り立つことを、証明する。

 仮定より、{m \times k=k \times m} である。

 {m \times (k+1) =(k+1) \times m} を、証明したい。

 さて、左辺を計算して、右辺を導出できれば良いが、途中で、行き詰まる。

 こういうときは、右辺の方から、お迎えに行った方が、良いこともある。

{(k+1) \times m = \overbrace{(k+1)+ \cdots +(k+1)}^m}
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}  {m} 個の {1}{(k+1)} を代入。
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~m= \underbrace{1+ \cdots \cdots \cdots +1}_m}  つまり {(k+1)}{m} 個。

 右辺を整理して、

{~~~~~~~=k \times m +m}

 帰納法の仮定より、

{~~~~~~=m \times k + m}

{~~~~~~~= \overbrace{m+ \cdots +m}^k +m}
{~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~ \uparrow}  {m \times k}{k} 個の {1}{m} を代入したと捉える。
{k+1= \underbrace{1+ \cdots +1}_k~+1}


{~~~~~~~~~= \overbrace{m+ \cdots +m}^{k+1}}
{~~~~~~~~~~~~~~\uparrow~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}  仲間はずれの、{m} を加えて、まとめる。
{k+1= \underbrace{1+~ \cdots ~+1}_{k+1}}  {m}{k+1} 個と捉える。


{~~~~~=m \times (k+1)}

 以上で、求めたかった式が得られた。

「うっ、結構難しいわね」

 ひとつひとつの式の変形が、ギャップのあるものに感じられるかも知れないけど、これくらいに、付いてこられないと、この先、厳しい。

「太郎さん、意欲のある中学生でも読めるようにすると言っておきながら、突き放すのね」

 ある水準まで、読者のレヴェルを上げないと、面白い話が書けないんだ。

「私は、『フーリエの冒険』だって、難しいレヴェルよ」

 難しい部分は、何度も説明するよ。

 さて、


 第3段階

 以上により、全ての自然数 {n} に対して、{m \times n=n \times m} が、成立する。{m} も、任意だったから、任意の自然数 {m,n} について、乗法の交換法則が、成り立つことが、証明された。

   証明終わり


「えっ、これで、証明されたの?」

 この3ステップを行うだけで、任意の自然数について、目当ての定理が成立することを証明できるところが、数学的帰納法の強みだ。

「でも、どうして、これだけで、いいの? うまく表現できないけど、例えば、{m \times n}{n} の方だけでなく、{m} の方も、{k+1} とかしなくていいの?」

 そう。特待生の麻友さんは、そういう質問をしなきゃ。

「えっ、痛いところ突いた?」

 痛いという程じゃないけど、説明しにくいところを、突いてきたな。

 これは、すっごく意味を考えながら、証明しないといけない、証明法なんだ。

 まず、{m \times n=n \times m} の、{n=1} の場合を、証明したね。

 この証明は、すべての {m} について、成立するという証明だった。

 だから、次は、{n=1} なら、すべての{m} について、成り立っているという仮定を置いて、先に進めるんだ。

 今度は、{n=2} の場合となる。

「ちょっと待って、太郎さんは、{n=2} の場合なんて、証明しなかった」

 実は、してるんだよ。

 {n=k} の場合正しいとして、{n=k+1} の場合を証明している。

 この {k} として、{1} を取ると、{n=1} が正しいことを仮定して、{n=2} の場合を証明していることになるでしょ。

「あっ、そうか。そして、{n=2} の場合も、任意の{m} について証明してるから、それを元に、次は、{n=3} の場合、その次は、{n=4} の場合と、どんどん証明できて行くんだ。改めて、{m} の方にも、{m=k+1} とかしなくていいんだ」

 今のはちょっと、特待生の突っ走りだったけど、正しいことを言ってる。

「私、数学の才能ある?」

 私、年取って思うんだけど、あるところから先は、才能より、どれだけそれを好きかが、自分を懸けて良いかの一番の要因だと思う。

10より大きい数

 さて、{10} より大きい数を、表せるようにするよ


 定義 40 自然数の省略記号の定義

 以下の左辺は、右辺の数字の並びの省略記号であると、定義する。例えば、{5} と、書いてあったら、{1+1+1+1+1} と書いてあるものと、見なして良いと、するのである。

{2=1+1}

{3=2+1}

{4=3+1}

{5=4+1}

{6=5+1}

{7=6+1}

{8=7+1}

{9=8+1=1+1+1+1+1+1+1+1+1}

{10=9+1=1+1+1+1+1+1+1+1+1+1}

 定義の仕方により、省略の仕方は、一意的ではない。例えば、

{9=1+1+1+1+1+1+1+1+1=1+1+3+1+3}

と、書いても良いし、

{9=1+1+1+1+1+1+1+1+1=1+1+7}

と、書いても良い。

 以上で、{10} までの自然数の省略記号が、定まった。

 定義 40 終わり


麻友「でも、{10} 以上は、どうするの?」

私「実は、私自身、名案がなくて、今までズルズル来ちゃったんだ」

麻友「えっ、名案がないって、太郎さん今まで全部、自分のアイディアで、話してきたの?」

私「自分の持ってる最良の説明で、乗り切ってきた。ただ、これは、どうしたものかな? と、困ってた」

若菜「過去形」

結弦「乗り切ったんだ」

私「最初の定義に戻ってみると、どんな自然数でも、{1} を、足し合わせたもの。そこで、{1} から、{9} までで、省略しきれなかった場合、それは、{10} か、それ以上だ。そこで、{10} なら、それで終わり。もし、{10} より大きかったら、そこまでを、{10} に置き換えて、省略し、残りを調べ始める。これが、{10} 以下で収まるなら、例えば、{7} とかなら、{10+7} と、省略記号で書く。例えば、こういうこと」

{1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1}

{~~~=10+1+1+1+1+1+1+1=10+7}

若菜「当然、{19} を、越えた場合、問題になりますが」

私「大丈夫。

{1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1}
{~~~~+1+1+1+1}
{=10+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1}
{=10+10+4}

と、できる」

麻友「じゃあ、{100} は?」

私「こう書ける」

{10+10+10+10+10+10+10+10+10+10}

結弦「でも、それじゃ、{10} が、いくつあるか、分からない」

私「それに、成功したから、今日書いている。



 定義 41 自然数の省略記号の定義(その2)

 {10} が、{10} 個、つまり、{10} 個の {1}{10} を、代入する。

{~~~~~~~~~~10=~1~+~~1~+~1~+~1~+~1~+~1~+~1~+~1~+~1~+~1 \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~  \downarrow  ~~~~ \downarrow ~~~~~  \downarrow ~~~~~ \downarrow ~~~~~ \downarrow  ~~~~~ \downarrow ~~~~ \downarrow ~~~~~ \downarrow ~~~~~  \downarrow \\
~10 \times 10 =10+10+10+10+10+10+10+10+10+10}

 この数だけの {1} の集まりと、同じ絵になる、{1} の列は、掛けられる数、{10} の次に、{0} を書いて、{100} という省略記号で、表すと、定義する。

 今後、さらに大きい数になった場合、掛けられる数を、{100} として、それが、{10} 個なら、{100} の次に、{0} を書いて、{1000} とする。

{~~~~~~~~~~~10=~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1~~+~~1 \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~~~  \downarrow  ~~~~~~~ \downarrow ~~~~~~~  \downarrow ~~~~~~  \downarrow ~~~~~~~ \downarrow  ~~~~~~~ \downarrow ~~~~~~~ \downarrow ~~~~~~ \downarrow ~~~~~~~  \downarrow \\
100 \times 10 =100+100+100+100+100+100+100+100+100+100}


 さらに大きく、掛けられる数(代入する数)が、{\displaystyle 1\overbrace{0 \cdots 0}^{n個}} なら、{10} を掛けた数とは、{1 \overbrace{0 \cdots 0}^{n+1個}} だけ、{1} があると、表すと、定義する。
 つまり、{\displaystyle 1\overbrace{0 \cdots 0}^{n個} \times 10 =1 \overbrace{0 \cdots 0}^{n+1個}} である。

 この方法で、{1} が並んでいて、{1000} が、{1} 個、{100} が、{9} 個、{10} が、{9} 個あり。最後に、{4} 個、{1} が残る数は、{1994} と表され、上のような計算で求まる個数だけの {1} が、並んでいる絵の省略形である。つまり、普通に {1994}(せんきゅうひゃくきゅうじゅうよん)である。

 定義 41 終わり


私「余り、歯切れの良い、定義ではないが、今回は、こうして、定めておく。今後、もっと良い定義を思い付いたら、差し替える。そして、次の言葉を定義する」


 定義 42 位取り記数法(くらいどりきすうほう)

 前定義(定義 41)で、行った、大きい数の記述法では、{1000} が、{1} 個、{100} が、{9} 個、{10} が、{9} 個あり。最後に、{4} 個、{1} が残る数であれば、{1994} と表されていた。この {1} 個、とか、{9} 個、とか、{4} 個 という数の大きさが、{0} から {9} の間にないと、上手く一通りには、表せない。例えば、下から二桁目に、{13} があって、無理矢理、{3(13)2} と表される数は、{100 \times 3 + 10 \times 13 +2=432} となる。要するに、別な仕方、つまり、{3(13)2} でなく、{432} 、でも表せることになる。

 ここで、表記の一意性(一通りにのみ表せること)を確保するため、{10} を単位に、数を表すときには、各桁の数字は、{0} から {9} とすることに、定める。

 数を表すのに、ローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ,Ⅶ,Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ,Ⅺ,・・・)のように、{0} を使わないものもあるが、私達のように、右から一桁目は、その数字そのもの。二桁目は、数字の十倍、三桁目は、数字の百倍というように、桁の位置によって、大きさを伝える記数法を、位取り記数法と呼ぶ。今の場合、{10} を底(てい)とする位取り記数法である。

 定義 42 終わり


結弦「当たり前なことって、説明するのが、難しいんだな。{1994} 個、{1} を並べて、実験してみせるわけにも、行かないし。僕は、どう習ったっけな?」

若菜「私は、たくさん計算させられて、当たり前のことと、思うようになったように、思うわ」

麻友「太郎さん。これは、自然数の話だけど、太郎さんの好きな、『解析入門Ⅰ』にも、こういうことが、ちゃんと書いてあるの?」

私「『解析入門Ⅰ』には、易しいこと過ぎて、書かれてない。小学生向けの本の方が、丁寧に書いてあると思う」

若菜「取り敢えず、これで、普通に数を、表せるように、なりました」

結弦「次は、小数、分数、負の数だね」

麻友「{0} は、表せているのかしら?」

私「{0} は、作ったじゃない。まあ、後で、復習しよう。翌朝まで、書いていたみたいだが、7時間以上、寝ているからね。じゃあ、バイバイ」

自然数の乗法

私「掛けられる数が、掛ける数の、個数だけあるというのだから、掛ける数の個数を、上に書いて、そのひとつひとつの {1} に、代入するというように、上下を逆にした方が、分かりやすいんじゃないかと、思ったんだ」

私「自然数の乗法は、以前は、やり直したんだよね」

麻友「あまり、覚えてないのよね。良く分からなかったし」

私「うん、分かりにくかった」

若菜「自分でも、分かりにくい定義したんですか?」

私「見返してみて、もっと良くできたな、と思うこともある」

結弦「今回、どうするというの?」

私「掛けられる数が、掛ける数の、個数だけあるというのだから、掛ける数の個数を、上に書いて、そのひとつひとつの {1} に、代入するというように、上下を逆にした方が、分かりやすいんじゃないかと、思ったんだ」


 定義 39  自然数の乗法 (定義35,37改)

{A=1+1+1+1,B=1+1+1} とするとき、{A \times B} を次のように定義する。


{~~~~~~B~~~=~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1}

{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow}

{A \times B =(1+1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)}

 定義 39 終わり


私「取り敢えず、こんな事を、今まで、勉強して来た。掛け算の定義には、拘ったね。後で、実を結ぶよ。それでは、今日は、ここまでだ。解散」




 現在2022年11月23日23時46分である。おしまい。